採血を成功させるための極意を考えてみる
看護師にとって採血業務は基本中の基本…であると思われている方も多いと思います。おおげさですが、採血の上手、下手で看護師として生きていく上でのモチベーションも変わると思います。働く部署にもよりますが、病棟、救急外来、外来の採血処置室、健診センターなどに勤務するとどうしても避けて通れない技術の一つではないでしょうか。病棟でも回復期やリハビリ病棟では採血は少ないかもしれません。
もちろん採血が苦手でも活躍できる場所はたくさんあります。
しかし、採血室に閉じこもって二年間、ずっと採血しまくってきたナス子。採血が苦手でも活躍できる場はたくさんあるといいましたが、ナス子にとって採血は看護師技術の中の上位に位置しています。採血について基本的なことは、看護技術の本やマニュアルに、たくさん掲載されています。なので、私は採血をする時に、どうすれば落ち着いて採血することが出来るのか。どうすれば、苦手意識を持たずに採血ができるか考えていこうと思います。患者さん、看護師にとってお互いハッピーになるような採血はどのようにしたら良いか
難しいですが、今までの経験を元に伝えられたら。
目次
1 採血は準備が大事。何の準備が大事❔
2 重要な血管選びと物品選び
3 当たって砕けろ!
4『ゾーン』に入るっ!!
5 まとめ
1 採血は準備が大事
採血に限らず、どんな手技にも言えますし、どんな教科書やマニュアルにも記載されていると思いますが、まず採血は準備が大切です。そんなこと当然だと思われるかもしれませんが、患者さんの所に行く前に採血する物品が揃っているか必ず確認しましょう。物品の準備が完璧だと心の準備ができます。自分は今から採血をするんだと自分の中で再確認できます。採血をする患者さんは、真空管採血ができる血管の持ち主だけではありません。血管の状態によっては、翼状針やシリンジも必要になってきますので、
慌てないためにも、予測できる準備物品は必ず揃えます。自分の中に、二重三重と網を張っておいて自分を安心させると、落ち着いて採血に望めます。
患者さんの所に行った時に、あれがないこれがないということが発覚すると、すごく焦ってしまい、取りに行く労力が発生します。しかも看護師さんは、だいたいの人が真面目ですから、患者さんを待たせないように急いで走って取りに行きます。そうすると、心拍数が上がり冷静さを失ってしまいます。
では、物品を忘れないためには、どうしたら良いでしょうか。
初歩的なことですが、まず採血準備物品メモが重宝すると思います。看護技術の中で基本的な採血ですから、採血に必要な物品くらい頭の中のメモで十分だと思いがちです。しかし、基本的な採血だからこそ、得意分野にしてしまえば自分の自信につながります。メモを見ながら準備すれば、物品を忘れることはありません。頭の中で何を準備するか考えるのではなく、これから採血する患者さんの様子、病名、年齢、考えられる血管の走行などを考えてみるのは、どうでしょうか。今から採血する患者さんは、採血が嫌いな患者さんで、『一回でやってよ』なんて言ってくるから、緊張をほぐすには何て声掛けしようかな。今日のおひるごはんのこと❔天気のこと❔好きな絵のこと❔病名は脱水、なら血管は、きっとつぶれているな。真空管では採血できないかもしれない。88歳、血管は見えてはいるけど脆弱で皮膚は張りがなさそう。血管に上手く当てるには。などなど。準備物品より頭の中で考えることは、たくさんありそうです。
採血前には、頭の中で物品の準備をするよりこころの準備をしたほうが、よりうまく採血できるのではないでしょうか。
2 重要な血管選びと物品の選択
物品の準備が大事と言いましたが、実は血管に合わせた器具を使用して採血することが、より重要となってきます。この血管には、どの物品を使用することがベストか。血管に合わせた器具選びは、採血を成功させるために必要です。
次に血管選びですが、看護師なら一番最初に肘正中皮静脈を見ると思います。
血管が太くて弾力があり、真っすぐで、真空採血も針を固定しやすく失敗がない血管です。違う血管が見えていても、駆血すると、この血管が触れることもありますから、見えている血管があっても脇見せず、まずこの血管を触ります。神経も触らない確率が高いですし出来るのなら、この血管で採血したいものです。
しかしそうはいっても、あまりにも血管が深すぎて触れないこともありますし、わかりずらい時もあります。血管選びには年齢も入れて考えなければなりません。見えている、太さもある、という場合にも、高齢者の場合、針を刺すと、サッと逃げてしまう場合もあります。また血管が脆弱で、破れてしまい、内出血だけ起こす場合もあります。
そのため、高齢者の場合の採血として、ホルダーを使用した真空管よりも翼状針を使用することが良いと思います。翼状針を使用すれば、サッと逃げてしまった血管も角度を変えて捕まえることができます。また、見た目に太く見えている血管でも、脆弱である場合が多いので真空管採血に耐えられず、血液が引けてこないという場合もあります。翼状針でシリンジがつながっていれば、血管に負荷をかけずにゆっくりですが、引けてくることが多いです。ぎゅうぎゅう引くと、血球が壊れてしまうので気を付けてください。
採血を一回目で失敗してしまい二回目になると、慎重にしようと思い、より緊張感が高まります。
心が落ち着いてない状態での採血は、手元も震えてしまうし、患者に気の利いた言葉をかけることが出来なくなってしまいます。採血を採ることに集中するのは、当然ですが一回目には、患者への優しい声掛けもできていたはずなのに、こわーい顔の看護師が一点だけ見つめて採血をしている姿は、本当にこわーいので、余裕を持って採血できる為にも、一回目で成功する心構えを築いていくことが大切だと考えます。
3 当たって砕けろ
技術って経験する数に左右される所があると思います。人間は同じ人はいませんから、血管の種類も星の数だけあると思います。全て制覇しろということではなく、ある程度の数を経験してくると、自分の中で血管のパターンを読むことが出来るようになってくる気がします。見えてるけど捕まえるのに苦労しそうな血管。奥の方に息を潜めている血管。針と同じくらいの細さしかないイチかバチかの血管。血管の走行が曲がっていて何処から刺せば血管に突き刺さるか計算が必要な血管。絶対大丈夫なのに患者から心配心配と言われ、やかましい血管。などなど。自分の中でパターン化してくると、あの時は、こうしたら成功した。こうしたら失敗したという風に引き出しがたくさんになってくると思います。似たようなパターンの引き出しが自然に引き出され、心も落ち着くことができるはずです。
ですので、経験したことのないような人の採血は自ら進んで経験すると、自分の引き出しが増えていくことになるのではないでしょうか。忙しくて無理!って怒られるかもしれませんが…私は難しい血管であればあるほど、『どれどれ』と言って吸い寄せられていくほうです。後輩からするとめんどくさいかもしれませんが。難しくて経験したことのないような血管は本当は誰にも渡したくありません(笑)時には、失敗するかもしれないと感じていても、当たって砕けろ精神が必要です。
4 ゾーンに入る
『ゾーン』とは、集中力が極限まで高まって、他の思考や感情、周囲の風景や音などが意識から消えて、感覚が研ぎ澄まされ、活動に完璧に没頭している特殊な意識状態です。一流のスポーツ選手は、世界レベルの試合などで『ゾーン』に入る経験をすることがあります。超集中状態でプレイすることで、圧倒的にハイレベルなパフォーマンスを発揮することが可能となります。このような、究極の集中状態はスポーツ選手に限って起こる現象ではないそうです。仕事や勉強、ダイエットなど、あらゆる場面で『ゾーン』に入ることが可能だそうです。以前は才能と考えられてましたが今では、誰でもトレーニング次第で『ゾーン』に入ることは可能だと言われているそうです。
採血で、ゾーンに入るって、大げさなのかなとも思いましたが、ゾーンに入る=集中力を極限まで高める意識状態ということかなと思い。針を刺す一瞬って、とても集中しなければならない時間です。そう血管に針を刺す時間は、ほんの一秒程度なんですが。
私は採血が好きなので、三年間採血室に閉じこもり、くる日も来る日も採血していましたが、不思議と苦痛ではありませんでした。経験値が上がってくると、失敗することも少なくなってきます。そうすると、採血が上手いと言われるようになります。
好きこそものの上手なれです。
採血が上手いと言われると下手と言われるより気分よく仕事が出来ます。しかし予期せぬ事態が足音なくやってくることがあります。採血が苦手(下手…)な常連さんや新人さんに『採血三回失敗しちゃってんですが代わってもらって良いですか』と依頼されることも出てきます。そう、四回目というレベルの高い戦いに挑まなければならない日も出てくるのです。四回目の採血は、患者さんも少なからず起こり気味です。しかも、たぶんここで採れたであろう血管は、ほとんどが潰されています。最初は、『この野郎~~』て気持ちしかありませんが、慣れてくると、患者さんには謝り倒しながらも、心の中は平然とできるようになってきます。こういう状況下での採血のおかげで、私自身一番成長できたのではないかと思いますがね…。難敵であればあるほど、一秒が勝負となります。太くて弾力のある血管なら、ある程度、おおざっぱに刺してもなんてことないのですが。細くて短い弾力のない血管は、本当に集中力が必要です。準備物品が完璧で、血管選びも十分で、経験も備わった時、『ゾーン』に入ることができ、獲得することができれば、難しい血管を仕留めるための手段になるかもしれません。
5 まとめ
採血を成功させるためには、①心の準備 ②物品の準備 ③経験値 ④集中力
これらのことをバランスよく組み合わせれば、自信を持って採血できるようになるのではないでしょうか。成功してくると、採血が得意になり、好きにさえなってきます。
真面目な看護師さんなら造作も無いことです。好きになることが、極意への近道なのではないか、と考えました。
ありがとうございました。
専門職大学校に看護科があったら、どんなに良いか考えてみる
私が看護師になる時は、高校を卒業した後、3年過程の看護専門学校に行くか、4年間、大学の看護科で学ぶかでした。
しかも、まだ『看護婦さん』でした(*^.^*)
今年4月、55年ぶりに新制度が加わり専門職大学という、なにやら賢そうな学校が設立されました。専門職大学とは、どういう学校なのか、看護科は開設されたのか、看護科が開設されたらどんなものになるのか私なりに考えていきたいと思います。
私が、進路を選択する時にはなかった選択肢。新しい時代の学校ですね。
1 専門職大学とは
2 看護師の中で専門職大学卒業生が生まれた場合を考えてみる
3 現在開設されている専門職大学の看護科
1 専門職大学とは
専門職大学とは何者かを調べる前に、まず、大学と専門学校は、どのような位置づけなのでしょうか。
・大学は、学問を追求、研究する学校。
・専門学校は、将来の就職に向けて技術を身につける学校。(知らなかった…)
それでは、専門職大学とは…
大学と専門学校の良さを融合し仕事に役立つ知識と技術を身につけ、
将来的に産業をリードできる人を育成するため、産業と連携しながら、実習や実験などを重視した、実践的な職業教育を行う学校。学生のうちから業界を深く知り仕事に役立つ応用力を学ぶことができる学校。
また専門職大学の大きな特徴が、『大学』の枠組みの中に設置されることだそうです。
卒業すると、『学士』の称号が得られます。
これは、とても良い学校だと思いませんか(・・?
私は専門学校卒業ですが、大学出身の看護師さんがとてもうらやましいです。
将来、看護教員になりたい私は、学士の称号があると、大学の教員として入りやすいです。今からですと通信教育で取得するという道がありますが、やはり大学で幅広く学んでみたかったと思います。
2 看護師の中で専門職大学卒業生が生まれた場合を考えてみる
専門職大学とは、2019年から開校された新しい学校です。したがって、まだ卒業生がいないので専門学校卒業生や大学卒業生と、どのように違ってくるのか、実際にはわかりません。ここから先は私の考える看護専門職大学生の卒業後の進路です。
看護師は、看護師になってから経験を積んで自分の得意分野が見えてくると、様々な分野への道が開けていきます。・急性期病院の看護師・療養型病院の看護師・デイサービスの看護師・リハビリの看護師・在宅の看護師・保育園の看護師・治験センターの看護師
大学の看護科は、保健師か助産師の免許まで取得できますが、専門学校卒業ならば、資格の取れる学校に行きなおし、保健師か助産師の免許を取得し、保健師や助産師として活躍するということもできます。保健師になった場合には企業の保険指導にも携わることができます。
私が少し考えただけでも、たくさんでてきます。
今ある、大学、専門学校の卒業でも、十分、看護師として活躍できそうです。
しかし、看護師は離職率が高い職業でもあります。
常勤看護職員離職率は10.9% 新卒看護職員離職率は7.8%です。全層での全国平均が15.0%である為、看護師の離職率がものすごく高いというわけではなさそうです。
リアルに言いますと、私の働いている病院では常に人が足りませんが…
先ほども述べたように看護師は、看護師免許を取得してから色々な道が開けてきます。自分の得意分野に集中していきたいと考える看護師も多いわけです。
つまり、専門職である為にキャリアアップが可能な職業でもあります。
そのため、ある程度経験を積んだ看護師が、転職するからといって必ずしも、マイナーな離職であるとは限らない気がします。
では、新卒看護職員離職率の場合は、どうでしょうか。
大きな声では言えませんが、実は、私が働いている病院でも新卒さんが泣いている所をよく見かけます。私もそうだったのですが、看護職というのは、学生の雰囲気と職場の雰囲気が、想像もできないくらい違うと感じます。
学生の時に行っていた、病院実習はレポートもたくさん書きました。三年生は、ほとんどが実習でへとへとでした。しかしそれが、実践につながっているかというと、やはり就職した後で感じたギャップは大きかったです。
専門学校では,3年間で実習が1035時間あり、実践力を育成させるように決められています。しかし、学生の実習はやはり基礎的な教科書的なことが多く、実践力を養う実習になっているかは疑問です。基礎的なことを学ぶことも、もちろん大切ですが、看護師の場合、一か月もすると夜勤に入るようになるため、学生のうちに少し応用力も身に着けることができたら、現場とのギャップを少しでも埋めることができるのかなと思います。
そういう点で、専門職大学の看護科が設立され、実践的な職業教育が進めば、現場に馴染むことの早い看護師が生まれ、現場とのギャップが少なくなり、新人看護師の離職率も低くなるのではないでしょうか。また、基本的には大学の枠組みに取り込まれる為、その先のキャリアアップも容易になってくるかもしれません。
看護師全員出来ると思われている、採血や注射も実は、大変技術を要するものです。
技術だけでなく、精神力も必要です。私は、採血室に三年間閉じこもり、血管という見えない敵と戦ってきました。見えてる血管といっても、細さ、深さ、広さ、脆さ、血管に到達するまでの皮膚の厚さというように、教科書では語れないほどの奥深さがあります。加えて、人のプレッシャーから受ける自分の精神力と戦わなければならないのです。私の場合、色々と慣れてしまいましたが。心臓が鋼で出来ている看護師ばかりではありません。しかし、この採血で新人の時に挫折してしまう看護師さんも多いのではないでしょうか。もし実習で、もう少し、採血も注射もさせてもらえたら…❔
精神力が少しは備わりますか(・・?
教育する先生も大変だとは思いますが、未来の看護師の人手不足を解消するためにも、ぜひ学生の頃から、実践的なことも取り入れれる看護職大学の看護科に期待したいです。
3 現在開設されている専門職大学の看護科
実践力が備わる専門職大学の看護科は、看護職という専門職である看護師の育成に最適だと思ったのですが、現在、明確に開設が決定している学校は、見つかりませんでした。認可申請をしていた学校も取り下げしたそうです。理由としては、専門職大学として理想とする教育環境を整えることが難しい。優れた実務上の実績がある教育者の育成が間に合わない。などのようです。
基礎的なこと、専門的なこと、技術を身に着けることに加え、実践的な職業訓練を行う学校ですから、かなりレベルが高いと思います。それに、教育者も揃っていないと現実的には難しいのかもしれません。しかし、しかし、看護師が専門職である以上、このような学校が、たくさん出てきて看護のプロがどんどん生まれることを、願っています。また、開設が叶ったら紹介していきたいと思います。
ありがとうございました。
分子標的薬特有の副作用が出ている患者のケアを看護師の視点から考えてみる
2018年度国内売り上げ医療薬品の第3位は、アバスチン(中外製薬)でした。
今日は分子標的薬について、患者さんにケアをしやすいように看護師の視点から考えてみたいと思います。
1 分子標的薬とは
2 分子標的薬の副作用、皮膚障害のメカニズムを考える
3 副作用が出現した患者さんのケアを自分なりに考えてみる
1 分子標的薬とは
まず、従来型の抗がん薬は、殺細胞性抗がん薬です。
殺細胞性抗がん薬は、正常細胞と腫瘍細胞の区別をつけずに細胞にダメージを与えるという作用機序です。ですので、看護上、気を付けなければならない副作用も多数にわたります。もちろん、従来型の抗がん薬が、がんに対して治療効果を示しているため、治療は継続されていると思いますので、抗がん剤治療を受ける患者さんは、主治医の先生とよく相談し、副作用に対する対処を受けながら治療を続けていきます。
分子生物学の進歩によりがん細胞の増殖に関わる遺伝子、タンパク質が解明され、それらを標的とし働きを抑制する薬、分子標的薬や登場しました。
分子標的薬は、がん細胞に特異的に効果を発揮するように設計されているため、正常細胞に与えるダメージは最小限に抑えられます。
ところで、世界で初めて開発された分子標的薬はHER2たんぱくが発現しているHER2乳がんの転移・再発治療薬として1998年に米国で承認されたトラスツズマブです。
日本では2001年に保険承認されています。
分子標的薬の多くは、事前にバイオマーカー検査を行います。
手術や生検で採取したがんの組織を用いて、遺伝子変異や特定のたんぱくの発現の有無をしらべます。
がんは、がん遺伝子の活性化や、がん抑制遺伝子の不活性化の積み重ねによっておこる、遺伝子の病気です。こうした概念から、がんの増殖やタンパク質を抑える分子標的薬が生まれたのです。
実際、私が勤務する外来化学療法室では、抗がん剤(殺細胞抗がん剤)との併用療法が行われている場合がほとんどです。また、抗がん剤による副作用で抗がん剤治療が続けられなくなった場合にも、分子標的薬は3rdライン、4rdラインと続けられていきます。
では、本題の分子標的薬に副作用はないのでしょうか。
2 分子標的薬の副作用、皮膚障害のメカニズムを考える
皮膚障害は分子標的薬のEGFR系阻害薬で治療している患者さんに好発します。
製品名は、
・セツキシマブ(アービタックス)・パニツムマブ(ベクティビックス)
・ゲフィチニブ(イレッサ)・エルロチニブ(タルセバ)などです。
EGFRは多くの上皮腫瘍に過剰出現していますが、正常な皮膚にも分布しており皮膚や髪、爪の分化や増殖に関与していることから、EGFRを阻害することで皮膚の新陳代謝に影響を与え、ざ瘡様皮疹、皮膚乾燥などの皮膚障害が発生すると考えられています。
ざ瘡様皮疹ですが、投薬後、1~2週間で発生がピークとなります。
この、ざ瘡様皮疹ですが、ざ瘡様というだけあって、憎たらしいことに顔に出現する患者さんが多いです。主治医や医療品メーカーさんは、分子標的薬は副作用が出現したほうが、治療効果が得られている場合が多いと言っています。
確かに、分子標的薬、特にEGFR阻害薬の場合、皮膚トラブルという分かりやすく副作用が出ますから、そういうはげまし方もあるのかなとも思います。
しかし患者さんにとったら、顔のざ瘡様皮疹は大変苦痛であると思います。
ひどい場合には、頭部にも出てきますので、出血もします。
しかし!!!一生懸命、治療を受けている患者さんの為、ここは予防ケアの重要性を理解していただきたいと思います!
本当にこの皮膚障害に関しては、スキンケアが重要となってきます。
まず、ぬるま湯で毎日入浴することを勧めます。
石鹸、シャンプー類は弱酸性のものを使用します。
紫外線による皮膚の乾燥を予防するように勧めます。
保湿剤はアルコールを含まないものを勧めます。
保湿剤は塗布する箇所に点在させ、優しく塗ります。
そしてこれらは、治療が開始される前から、患者さんに理解してもらい、実施してもらうことが大切です。
3 副作用が出現した患者さんのケアを自分なりに考えてみる
皮膚障害は治療を受けている患者さんにとって本当に辛いものです。
外来化学療法室の看護師になりたての頃は、患者さんの皮膚障害に対して教科書的な伝えしか出来なかったと思います。教科書的に正しく伝えることは大事なことですが、そこに、この患者さんは、なぜ辛いのか、どうしたら副作用と向き合いながら、よりよい生活が送れるのか、この患者さんが出来ることと出来ないことは何か。考えて患者さんに伝えることがとても重要だと思います。
確かに、教科書には副作用発現時期が載っており、副作用のピーク期間は血中濃度が最高濃度になる時期であることから、必ず、その時期は過ぎていくものであります。
しかし、副作用が出ている時も、一人の患者さん。副作用に悩まされている患者さん。
一人の人間として尊重されなければならない患者さんなのではないかと思います。
遺伝子のがんに働きかける薬が人間の体に及ぼす影響は、多大なものです。研究に研究を重ねて世に送り出されたものですから。そのため、副作用のケアを充実させ、患者さんには、なんとか副作用と付き合いながら治療を受けてもらえるよう援助するのだ看護師の役割であり、大変重要な役割だと考えています。
完全に患者さん個人のことを理解したわけではありません。
日々勉強ですが、自分のことをスペシャルキーマンだと信じ、日々、患者さんと向き合っていきたいと思います。
医療用薬品の国内売り上げトップから見えることを考えてみた
それでは、今日は薬品について書いていきたいと思います。
2018年度、医療用医薬品の国内売り上げ高トップ20が発表されました。
トップ5までみていきたいと思います。
1位は アッヴィのC型肝炎治療薬 マヴィレット
2位は ファイザーの疼痛治療薬 リリカ
4位は 小野薬品の免疫チェックポイント阻害薬 オプジーボ
5位は MSDの免疫チェックポイント阻害薬 キイトルーダ
以上が上位5位までの薬品です。
1位のマヴィレットは爆発的なヒットとなり、前年度比の売り上げ高が216.7増となっています。
すごい。薬で前年度比、200倍なんて単純にすごいとしか言えないです。
特徴は最短8週間で治療が可能ということでジェノタイプを問わず使用できるそうです。
どれも有名な薬なのですが私が聞きなれている薬からいこうと思います。
まずは、オプジーボです。
オプジーボとは、がん治療の四本目の柱である免疫療法の一つです。
これまでの、がん治療は手術、放射線療法、化学療法が三本柱とされてきました。
そして、近年になって研究が進み、がん治療の四本目の柱となったのが、がん免疫療法です。
オプジーボは記憶に新しく、2018年12月に京都大学の本庶佑氏と米テキサス大MDアンダーソンがんセンターのジェームズ・アリソン氏が『免疫チェックポイント阻害薬』という新しいタイプのがん薬物療法の開発に貢献したことが、ノーベル医学生理学賞を受賞しました。
実際、薬剤として認可されたのは2014年7月です。
従来型の抗がん剤による化学療法や放射線療法は、がん細胞を直接攻撃する治療法です。
一方、がん化学療法は、お薬が直接がん細胞を攻撃するのではなく、患者さん自身の『免疫』を利用します。そのため、がんが小さくなるまで少し時間がかかると考えられています。
私の勤務している、外来化学療法室でも、このオプジーボを受けている患者さんはもちろんいます。肺がんの方で、非小細胞肺がんの患者さんが主です。(他にも、腎細胞がん、悪性黒色腫のがんが対象となりました。)
やはり、ノーベル賞受賞が発表された後は、うちの病院でもオプジーボの問い合わせが多かったです。
がん化学療法では、腫瘍の種類や遺伝子の種類によって薬の種類を決定しています。
オプジーボがノーベル賞を受賞した後には、なんとか自分のがんにも使用できないかといわれる方もいました。やはりそれだけインパクトのある発表だったに違いありません。
小さなうちの病院でも問い合わせが増えたくらいですから、それが医療薬品の売り上げトップ5の中の二つに入っているのも納得できます。
ただ、もとの値段はすごーく高額だと思いますが。
患者さんは、色々と調べてこられ診察の時にも色々と質問されます。
実は、ノーベル賞発表まで、免疫療法のことを、あまり詳しく調べたことはありませんでした。
第四の柱として登場した以上、しっかりと調べて患者からの質問にしっかりと答えられ、ケアにつなげることができるようにしたいと思います。
抗がん剤治療中の患者さんが、自分のがんのにおいを気にしている時に
こんばんは。看護師ナス子です。
今日のスイーツは子供達から大絶賛でした💛
まだ出来たばかりのお店だそうで、また行こうと思います。
さて、外来化学療法室では色々な病期の、がんの患者さんが治療を受けに来ます。
腫瘍の術前に行う、ネオアジュバント療法を受けている方、術後の患者さんや放射線療法の後に再発防止目的で行う、アジュバント療法を受けている方。
リンパ節転移の為、手術の適応がなく抗がん剤治療を主に置いている方。
延命目的の方など。
そんな方々の中で、自分から、がんのにおいがしていないか気にされる方がいます。
従来型の抗がん剤で殺細胞性抗がん剤は、正常な細胞までダメージを与えます。
もちろん、がん細胞に対して治療の有効性がある為に、患者さんには使用されているのですが。
正常細胞がダメージを受けることで、抗がん剤の種類にもよりますが、嗅覚をつかさどる細胞がダメージを受けることで嗅覚が効きづらくなる方も確かにいます。
また、体内の腫瘍自体が自壊してにおいを発する場合があります。
もちろんそれは対症療法で防いでいくこともできます。
これらは、原因がはっきりしていて、がんの勉強をしていくと必ず理解できることです。
それ以外に、たまに『看護師さん、私から、がんのにおいがしない?』と訴える患者さんがいます。
2014年の日経新聞より、九州大学は人の尿でがんを検知できるシステムの開発に乗り出したそうです。においを感じとる嗅覚受容体の携帯が哺乳類と同じ線虫を応用し、がん患者が持つ物質のにおいを検知するという研究を行っています。
将来的には家庭用検査キット作りにもつなげたいということです。
線虫のにおいを感じとる仕組みは解明されていないそうですが。
確かに研究されるように、がんのにおいってあるのでしょうか。
がんの患者さんは、色々なことに敏感になっており、がんになった自分を責めてしまう傾向にあります。
がんになった自分と、看護師である私は完全に違う人間であるとでもいうような。
においにも非常に敏感になってらっしゃって自分から、においが発せられているのではないかと気にする方は非常に気にします。実際には、においのする方はいません。
しかし、そんな時は、はっきりと『〇〇さんから何にもにおいはしませんよ。』と言ってあげます。
逆に『私、ずっと動いてるから、汗臭くないですか(・・?』って聞き返します。
だって、汗だくで院内を動き回っている私の方がよっぽど臭いですよ。
私だって同じ人間ですから。
ちょっと一休みで、可愛いスイーツを買いに行ってみた
可愛いくまさんが、こちらを見てまして❣️
隠れ家風のカフェで買ってきました❣️
私の写真の腕がpoorなのが残念ですが( 。゚Д゚。)
店主さんの笑顔も素敵でした🎵
お味の方は…
子供が帰ってきてからにします🎵